【2023.09】認知症の予防について

今回はせたがや仙川クリニックの医師・三ツ間 小百合先生に「認知症の予防」についてお話を伺いました。

生活習慣病の治療は継続し、過度な飲酒やストレスは避けて認知症を予防しよう

認知症にはいくつか種類がありますが、認知症の中でも7割弱を占めるアルツハイマー型は、発症までに20年くらいの時間があるといわれます。脳の神経細胞にアミロイド宿というタンパク質が蓄積し、脳の神経細胞を破壊してしまうことが原因とされ、40代頃からアミロイドβの蓄積は始まるとされています。認知症予防には、若い頃からの生活習慣の改善が重要です。

その症状、ひょっとしたら認知症かも

認知症

□ 約束(日付や時間)を忘れて、何度も確認する
□ 薬を間違わないようセットしてあるのに飲めなくなる
□ 貴重品を常に探している
□ 通帳を何度もなくして再発行を重ねている
□ 好きだったことにも無関心(興味関心が薄れている)
□ 慣れているはずの料理の手順がわからない
□ 鍋ややかんの空だきをする
□ 性格が怒りっぽくなるなど変化した
□ 車を運転していて逆走してしまう

~1でも当てはまったら、かかりつけ医に相談を~

チェックリストの項目に1っでも当てはまったら、いつも持病などで診てもらっているかかりつけの先生に相談してみましよう。
物忘れ外来やメモリークリニックなどはご本人にとってハードルが高いかもしれませんので、まずは持病などの通院日に、ご家族などが付き添って受診するといいですね。チェックリストのような様子が見られる旨を、医師に詳細に伝えてください。

認知症予防で大切な4つの「ない」

①生活習慣病を放置しない

たとえば高血圧は、脳血管性認知症と密接な関係があるとされており、動脈硬化を起こすことにより、認知機能障害や認知症の発症に影響があるとされています。 また糖尿病は、脳血管性認知症だけでなくアルッハイマー型認知症でも、糖尿病ではない人より2〜4倍発症リスクが高いと報告されています。 生活習慣病は放置せず、きちんと治療を行うことが認知症予防にもつながります。

②ストレスをためない

記憶は脳のなかの海馬という場所で、記録も書き出しも行われますが、海馬自体が非常にストレスに弱いといわれています。 ストレスを受けると、 コルチゾールと呼ばれる-ストレスホルモン。が分泌されます。 このホルモンはストレスから身を守ろうと分泌されるもので、 間的なストレスでしたら問題ありません。しかし長期的にストレスに曝されると、全身の血管が収縮して血流が悪化し、脳 (神経細胞)に必要な栄養などが届きにくくなリ、海馬がダメージを受けて委縮してしまうとされています。 ストレスはできるだけこまめに解消していくことが大切です。

③過度な飲酒はしない

飲酒と認知症についても関係が深いことがわかっています。週1回以上飲酒する(規則的に飲酒している)人は、飲酒量が多いほど認知症の発症リスクが高くなる傾向があることがわかっています。また、繰り返し、規則的に飲酒する人では、1週間に飲む平均飲酒量が増えるほど、発症リスクが高くなる傾向があることがわかりました。 1日の適量は純アルコール20gまでです。 以下のイラストを参考にしてください。

1日のアルコールの適量

④家の中に引きこもらない

ある研究では、「配偶者がいる」 「同居家族と支援のやりとりがある」 「友人との交流がある」 「地域のグループ活動に参加している」荷らかのをしている」、この中のいずれか 1つに該当すると、認知症の発症リスクが低減することが分かっています。仕事を退職したりすると、どうしても人と接する機会が減ったり、人から刺激を受けることが少なくなります。認知症を予防するためにも、家に閉じこもらず、地域の活動や趣味のサークル、お仕事の場などに参加することがとても大切です。