【2023.04】「看取りケア」について

医療法人社団医輝会の理事長・東郷医院院長の「東郷 清児先生」に、看取りケアについてお伺いしました。

看取りとはギリギリまで尊厳ある生活をサポートすること

看取りとは、間近に迫った死が避けられないとわかった時から始まる。”人生最期の看病”だと考えています。看取りの本質とは、積極的な治療ができず、回復の見込みがない方に対して尊厳ある生活をギリギリまでサポートし、尊厳ある死を見守ることです。そのため、看取りでは、医療行為よりもご家族や介護ヘルパーさんなどによる日常生活のケアが主体となります。

マッサージ

患者さんやご家族の死生観もここ十数年で変化しつつある

死への考え方も、ここ10~15年で変化しています。30年ほど前は、終末期の患者さんであっても、最期は心臓マッサージなどの処置が施されていました。しかし近年は、命には限りがあり、無理に救命処置をして命を長らえさせることが、本当にご本人にとって幸せなのか?と問われるようになりました。「『平穏死』のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか」(石飛幸三郎著・講談社)が刊行された2010年あたりから、医療従事者を含め、人々の間に変化の兆しがあったのかもしれません。

最期はどうしたいか?を元気なうちに確認しておく

治すのが難しい病気だと診断がついたときや、もう治療方法がないとわかった時などのタイミングで、1日でも長く生きたいのか、きつい治療はしたくないのかなど、延命治療の有無を含めて、最期はどうしたいのかをご本人に確認しておきましょう。人の気持ちは変化しますので、意思表明の内容は、いち更新しても大丈夫です。何より大切なのは、ご本人の気持ちを受け入れ、看取りケアに関わる方全員で共有することです。

マッサージ

看取りケアの準備期

亡くなる1~2か月前より、活力や身体的な機能は急速に低下していく

看取りケアの準備をいつごろからはじめたらいいのか、判断するのは難しいですが、かかりつけの医師に相談しつつ、患者さんに以下のような変化が現れたら、準備を始めた方がいいのかもしれません。

・体力が低下し外出が難しくなる

・じっとしていてもダルい

・ちょっとしたことで息が切れる

・食事が目立って低下し、体重も減少する

・日中も横になっていることが多くなる

・ボーっとして忘れっぽくなる

看取りケアの開始期

亡くなる1週間~2日くらい前から、日単位でお身体に変化がみられるく

以下のような症状が見られたら、看取りケアを始める時期となります。症状は1日単位で変化します。

・水分や薬が飲めなくなる

・発語が減ってくる

・衰弱して、目に勢いがなくなる

・むくみやすくなる

・生活が全面介助になる

・傾眠傾向や意識障害がみられる

・時間や場所、人などがわからなくなる

亡くなる間際の看取りケア

言葉や動作で反応できなくても、意識があるときと同じように接してく

目が開けられず、言葉が出ない状態でも、ご本人にはちゃんと声は届いていますし、感情もあります。声をかける、手を握る、身体をさする、そばにいることでコミュニケーションはとれており、周囲の人の気持ちは伝わっています。その人との関係性を変える必要はありませんので、普段と同じように接してあげてください。

もし、ご本人が話せる場合には「そんなことは言わないで」と話を中断することはせず「何を考えているの?」と尋ねてあげてください。安易な励ましやなぐさめは慎み、本人の言葉に耳を傾けることが大切です。

親しい人を看取るとき、どうしたらいいの?Q&A

看取りをする際には、様々な問題に直面します。食べられなくなったらどうするのか、病院か、在宅か、本人の意思はどう確認したらいいのかなど、選択の連続です。看取りケアの現場で直面する課題にどのように対処していけばいいのか、東郷医院院長の「東郷 清児先生」に引き続きお伺いしました。

Q.食べられなくなったとき、胃ろうを作ってもいいのでしょうか?

Q.何歳だからもういいのでは?と思いこまないことが大切です。

患者さんが90歳、100歳という年齢の場合「食べられなくなったらおしまい。この年で胃ろうを作ることに何の意味がありますか?」と言われてしまうケースがありあます。こんなケースがありました。あるご高齢の患者さんは、ステーキを食べるほどお元気だったのに、骨折してしまい、手術後2か月ほど入院。食べられなくなってしまい。病院からは「これ以上、何もできません」と言われて自宅に帰されました。ご家族からは「このままではどうしても諦められません」と言われ、点滴からはじめて、違う病院で胃ろう(胃の壁に小さな穴をあけて、そこから栄養を入れる方法)を作ってもらいました。するとお話ができるようになり、胃ろうが外れて口から食べらえるように。さらにはリハビリができるほどお元気になりました。

Q.本人の意思を尊重したいのですが、家族に本音を話してくれているか自信がありません。どうしたらいいですか?

Q.介護ヘルパーさんやマッサージの方、友人などに本音を話していることも。意思決定の場に家族や医療従事者以外の方も入れてみて。

ご本人が、自分の意思を表現できない時、家族と医療従事者で今後のことを決めがちです。しかし、本音は介護ヘルパーさんやマッサージの方、気の置けない友人に本音を話していることは少なくありません。もしご本人がどうしてほしいのかわからないときには、その患者さんと過ごす時間の長かった方に尋ねてみることも大切です。意思決定の話し合いの場にも、出来れば入ってもらいましょう。

Q.家で看取るのか、病院の方がいいのか。いつ頃話し合っておいた方がいいですか?

Q.もう治らないとわかった時点で、最期はどうしたいのか、どうするのか話し合っておきましょう。

病院なのか、在宅なのか。悩む方は多いと思います。ある患者さんびケースですが、在宅で看取るための体勢はしっかりつくっていたのですが、普段は家に帰ってこない息子さんが「家ではちゃんとした治療なんかできない」と思い込み、無理矢理、病院に選んでしまいました。しかし声おなかのため付き添いもできず、病院でなくなるというケースがありました。患者さん本人はずっと「最期まで家で過ごしたい」と希望されていましたが、仕事が忙しいからと息子さんは話し合いに参加してくれなかったのです。こういうケースを避けるためにも、治る見込みがないとわかった段階で、今後のことを、家族全員で話し合いをしておいてほしいと思います。

Q.家族でもなくなる人の気持ちはわかりません。看取ると際、一番大切なことを教えてください。

Q.死に優劣はありません。その方の人生に敬意をもって、見送って差し上げてください。

どんなに親しい家族でも、なくなる方がどのような思いを持っておられるかはわかりません、ましてや死の怖さをどう乗り越えて、安住の域へと至るのか、周囲の人にもわからないことだと思います 。しかし1つだけ言えるのは、どんなに成功した方でも、なかなか思うような人生を送れなかった方でも、死の瞬間はみな同じ。平等です。死に優劣はありません。周囲から見て、不本意な生き方だったとしても、その方なりに頑張って生き抜いたのです。”おつかれさまでした”と、敬意をもって見送って差し上げてください。

Q.患者さんに、どのような声掛けをしたらいいでしょうか。言葉がうまくでてきません。

Q.ありきたりな言葉より、辛さや怖さなどを共有してくれることの方が、ご本人は救われるのかもしれません。

死にゆく方にとって、どのような声掛けがいちばん癒しとなったのか、心療内科の医師がアンケートをしたそうです。その結果「まだ大丈夫だから」などありきたりな言葉を言われるより、「怖いよね、怖いよね」と一緒に苦しんでくれることの方が、救われたということでした。良い言葉を探そうとするより、ご本人の辛さを共有していく姿勢のほうが、大切なのかもしれません。なくなっていかれる方の感情を抱きしめてあげてください。

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今回の情報に加えて、簡単なトレーニング方法や気分転換になる頭の体操も掲載している、孫の手だよりのpdfデータを以下からご覧いただくことができます。

取材・文/医療ライター渡邉由希

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