【2020.01】「その症状、ほんとに認知症？」「家での看取り」

認知症というと不治の病というイメージがありますが、甲状腺機能低下症やビタミンB1不足などにより、認知症のような症状が現れることがあります。これらの病気は臆するの投与で急激に良くなりますので”治せる”認知症ではないか症状をチェックしてみることが大切です。

甲状腺機能低下は認知症と間違えやすい。治せる認知症を見逃さないで！

認知症を発症してしまうと、症状の進行を緩やかにする、あるいは現状を維持するというのが一般的な認識です。しかし中には、他の病気なのに認知症だと診断され、治せるのに間違った治療を受けているケースが少なくありません。特に「甲状腺機能低下症」という病気になると、認知症と非常によく似た症状が起こります。

家族はどのような点に気をつけたらいいのか、ひなた在宅クリニック山王「院長・田代和馬先生」にお話をお伺いしました。

甲状腺の機能が低下すると、体中の新陳代謝が悪くなる

甲状腺という臓器は、首の前側、のどぼとけの下にあります。甲状腺はとても小さな臓器ですが、血液中に甲状腺ホルモンを分泌し、体中の新陳代謝を正常に保つ働きをしています。この臓器の機能が低下してホルモン分泌が不足するのが”甲状腺機能低下症”です。

脳の働きが低下するので、物忘れや抑うつといった症状も

甲状腺の機能が低下すると体中の新陳代謝が低下し、その結果として脳の働きも悪くなります。次の症状に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

□ 約束(日付や時間)を忘れて、何度も確認する
□ 物忘れをする
□ ボーっとしている、元気がない
□ 抑うつ的になる
□ 悲観的な話題が増える
□ 夏なのに寒がる、クーラーが苦手
□ 寒さに弱い
□ 抜け毛が増える
□ 便秘がち
□ むくみやすい
□ 体重が増える
□ 幻視がある
□ 声が低くなる、かすれる
□ 肌がカサカサになる
□ 倦怠感がある、疲れやすい

甲状腺機能低下症による物忘れは、お薬の服用で劇的に良くなる

お年寄りが急に元気がなくなって物忘れをするようになると「認知症になっちゃったかしら」と考えがちです。でも実は甲状腺ホルモンが不足していてこれらの症状が起こっていることがあるのです。ある報告では、認知症全体の10～15％は甲状腺機能低下症によるものとされています。

甲状腺機能低下症は、お薬を服用して甲状腺ホルモンを補充することで、早い場合だと、1～2週間で脳の活動性が改善し、物忘れや抑うつなどの症状も軽快します。

かかりつけ医や総合内科、内分泌化で甲状腺機能の検査を依頼する

認知症の薬を処方された65歳以上のうち、およそ3分の2の患者さんは、甲状腺機能の検査を受けていないことがわかっています。前述の症状に当てはまる場合は「甲状腺ホルモンの検査（血液検査）をお願いします」と主治医に伝えてみてください。

もし、主治医に言いづらい場合は、総合内科や内分泌化などを受診してください。

認知症や関連する症状を改善するには

認知症の患者さまは不規則な生活になったり、ご自身だけで適切な運動を継続的に行うことが難しいため、もの忘れなど認知症が直接の原因となる症状以外にも便秘・関節痛・筋力低下による歩行不安定・浮腫み、手足の震えやしびれ、こわばりなどの症状がでることが多く、実際に弊社の患者さまから、このような症状のお問い合わせを多くいただいております。

また、運動不足によって血流が悪くなり、免疫力の低下（感染症にかかりやすくなる）といったリスクもあるため、これらの対策として、適切な運動を継続的に行うことが必要になってきます。

孫の手倶楽部では国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」による訪問マッサージを行っていますが、マッサージ治療は、皮膚や筋肉、関節に刺激をあたえることで、血液やリンパ液の循環改善(免疫力向上)、内臓機能の改善・関節痛緩和・浮腫改善といった効果が期待できることから認知症の患者さまなど、継続的に運動を行うことが難しい方にも効果的です。